AKB48握手会傷害事件
AKB48握手会傷害事件（エーケービーフォーティエイトあくしゅかいしょうがいじけん）とは、2014年5月25日16時55分頃、岩手県滝沢市の岩手産業文化センター（アピオ）で発生した傷害事件。
概要
2014年5月25日、岩手産業文化センター（アピオ）では、13:00 - 21:00までの予定でAKB48全国握手会[1]が行われ、AKB48のメンバー約50名が参加していた。
同日16時55分頃、24歳の男がジャンパーの中から全長約50cmの鋸を取り出して暴れ、メンバーの入山杏奈・川栄李奈と会場整理の男性スタッフ1人を切りつけた[2]。犯人の男はその場でスタッフに取り押さえられ、駆け付けた岩手県警察盛岡西警察署の警官らにより殺人未遂の現行犯で逮捕された。切りつけられた3人は岩手県高度救命救急センターに搬送されたが意識はあり命に別状は無い模様。AKB48劇場支配人の湯浅洋によると、メンバーの2人は握手会の心配をしていたという。また、AKB48グループカスタマーセンター長の戸賀崎智信は自身のGoogle+で事件の経緯について声明文を発表している[3]。入山杏奈は右手小指の骨折と裂傷および頭部の裂傷、川栄李奈は右手親指の骨折と裂傷、男性スタッフは左手を骨折と診断され、3人は同日夜に緊急手術を受けた。同じレーンには他に大島涼花、倉持明日香、高城亜樹がいたが3人にケガは無かった。
その後、5月26日の18時30分頃、入山と川栄は岩手県高度救命救急センターから退院し、簡単な会見を行った[4][5]。
当日の警備体制
主催者のキングレコードによると、制服警備員、会場整理スタッフ約100名が警備にあたり、参加者に握手前に両手を広げてもらい目視でチェックしていたとのこと。参加者によれば手荷物検査はなかったとのことだが、実際にはランダムであった。
犯人について
逮捕された24歳の男は青森県十和田市の出身。凶器は自宅にあった折りたたみ式の鋸にであり、刃の裏にはカッターを貼り付けるなどの改造が施されていた。男は中学時代に陸上で国体に出場していた経験があり十和田市から会場とあった滝沢市まで約120kmを自転車で現場まで向かったとされる。男はAKB48グループのファンではないもの握手会場に進入するために「ハート・エレキ」と「前しか向かねえ」の2枚のCDを所有していた。犯行動機について当初は「誰でもよかった」と話したが途中で「AKBなら誰でもよかった」に変わっている。また、被害者である川栄と入山については「メンバーの名前は知らなかった」と話している。反省の言葉や負傷した川栄や入山そして男性スタッフに対する謝罪の態度もなく、供述が二転三転してることから、検察側は責任能力を裏付ける目的で現在、精神鑑定の要請が検討されている。
たった一人の身勝手極まりない犯行動機にAKB48グループの総監督を務める高橋みなみは「そんなことあってもいいのでしょうか？ 私たちはこんなやつのためにこんな事が起こるために握手をしてるわけじゃなかったはずです。純粋に応援してくれている皆さんと触れ合いたくて今までやってきたから…。ファンのみんなと築いてきた絆とメンバーの思いをなめないでほしい。」と犯人の男を糾弾するコメントを発表した。また、渡辺麻友も「再発防止だけでは物足りない!こんなやつのために握手をやってるわけではありません!ファンのみんなと築いてきた絆をなめる気ですか!!」と犯人の男に対して怒りを顕わにした。 初公判でAKBが給料が多くてイライラしてやったと語った
影響
この日の握手会は打ち切りとなった。主催者のキングレコードは今後の握手会実施の可否は協議中とした。警視庁万世橋署は同日AKSに対し、ステージと客席との距離を広げること、警備員の増強、金属探知機などの導入、公演後の客とのハイタッチの自粛を要請した[6]。
イベント
事件を受けて、同日行なわれていたSKE48の個別握手会が途中打ち切りとなったほか、AKB48劇場・NMB48劇場で行なわれた公演後のハイタッチ会も中止となり、ファンや報道陣が殺到しパトカーが出動する騒ぎとなった。
また、事件翌日の5月26日に予定されていた「NMB48 feat.吉本新喜劇Vol.9」が延期され、AKB48劇場での公演も取り止めとなった[7]。同日、AKB48劇場での公演は5月31日まで中止されることが発表され[8]、さらに5月31日にナゴヤドーム、6月1日に幕張メッセで予定されていた握手会イベントの中止も発表された[9]。その後、6月末までに予定されていた握手会および写真会についても延期となった。
味の素スタジアムで開催された、6月7日の「AKB48 選抜総選挙」、および6月8日の「大島優子 卒業コンサート」については開催が決定したが、金属探知器を設置し厳重な入場チェックを行うため、当初予定より開場時間を1時間前倒しすることとなった。
メディア
事件は被害を受けたAKB48のメンバー2名が出演しているメディアにも影響した。事件翌日の5月26日深夜から放送が予定されていた、入山杏奈が主演を務めたNOTTVのオムニバスドラマ『結婚させてください!!』のエピソード3が事件を受けて放送を見送られ、この時間の放送が同ドラマの別エピソードに差し替えられた。また、川栄李奈が出演していたユーキャンのテレビCMについても、事件を受けて同企業により放送の中止の決定を発表していたが、5月30日から放送と発表された。なお、川栄の薬膳コーディネーターの資格取得への挑戦自体は継続する[10]。5月31日（5月30日深夜）に放送予定であった、川栄主演のテレビ東京のドラマ『セーラーゾンビ』第7話についても放送延期となったが、6月7日（6月6日深夜）から放送再開された。6月8日に放送予定であったファミリー劇場のバラエティ番組『AKB48ネ申テレビ シーズン15』第9回以降の放送が延期となった。その一方、川栄が水曜日レギュラーとして出演している『バイキング』の5月28日放映分では、川栄はスタジオ出演は欠席したものの、番組冒頭の数分間電話で生出演し近況を報告した。入山も5月29日（同28日深夜）放送の『AKB48のオールナイトニッポン』で、冒頭の約5分間に電話出演し、出演直後には自らのGoogle+アカウントも更新した。
AKB48グループ以外
- Happiness - 5月26日、同29日から6月1日にかけて行われる予定であったシングル「JUICY LOVE」の発売イベントを全て中止。振り替えも行わないことを決定。
- ジャニーズ事務所 - 5月27日、中山優馬が同31日に仙台、6月1日に広島で予定していたハイタッチを含むイベント「優馬とHigh Five」を無期延期にすることを発表。
- アイドリング!!! - 5月27日、同28日にラゾーナ川崎プラザで予定していたイベントを「警察当局の指導により」中止。延期しないことも決定。同29日から6月1日に神奈川、福岡、愛知、仙台、大阪、兵庫、東京で予定していた握手会を含むイベントについては予定通り開催するものの、手荷物の持ち込み、および従来許容されていたメンバーに直接ファンレターやプレゼントを手渡しする行為を禁止するなどの措置を講じた。
- 私立恵比寿中学- 5月27日、同31日にナガシマスパーランド（三重県桑名市）でのイベント終了後に予定していた握手会を中止すると発表。
模倣犯
5月27日、Twitterに「のこぎりで人傷つけて回りたい」「明日の授業中に人を殺すことを考えている」などと書き込み、筑波大学の構内や周辺を約40人の警察官に警戒させるなどして、つくば中央署の業務を妨害した偽計業務妨害の容疑で、同28日、茨城県警察捜査1課とつくば中央警察署が、同大学2年生の19歳の男を逮捕した。
脚注・出典
- ↑ 「KING RECORDS presents AKB48全国握手会イベント AKB48祭り powered by ネ申テレビ」と題し、AKB48の33rdシングル「ハート・エレキ」、35thシングル「前しか向かねえ」購入者を対象にした握手会イベント。
- ↑ 日本経済新聞 2014年5月26日、39面
- ↑ 昨日、岩手での握手会にて起きた事件につきまして、ファンの皆様にご報告させて頂きます。 戸賀崎智信のGoogle+ 2014年5月26日閲覧。
- ↑ AKB川栄と入山が退院「もう大丈夫」 日刊スポーツ 2014年5月26日閲覧。
- ↑ 平安出院!AKB48被刺團員：讓大家擔心了 中時電子報 2014年5月26日閲覧。
- ↑ AKBの運営会社に警視庁が警備強化要請 AKS「検討する」 サンケイスポーツ 2014年5月26日閲覧。
- ↑ AKB劇場の公演中止 日刊スポーツ 2014年5月26日配信、同日閲覧
- ↑ AKB48劇場休館のお知らせ 公式ブログ 2014年5月26日配信、同日閲覧
- ↑ 開催延期のお詫びとお知らせ キング・レコードOFFICIAL SITE 2014年5月26日配信、同日閲覧
- ↑ 「AKB チャレンジユーキャン! 2014」企画 実施について ユーキャン 2014年5月30日配信、6月1日閲覧
